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噴出す社会矛盾。青少年による悲しい殺傷事件の数々…
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昨秋からTBS系列で『3年B組金八先生』の第8シリーズが放映されています。今シリーズのテーマは「問題親(もんだいおや)」だそう。それを反映して今シリーズでは、それまで1シリーズに少ししか登場しなかった問題親がたくさん登場しています(過干渉、放任、虐待、モンスターペアレント…)。
金八は、問題のある親を諭しきれず(?)、生徒達に「親は親、自分は自分」永野のりこ…じゃなくて茨木のりこの詩を引いて「自分の感受性は自分で守れ」、「どんな状況に生まれても君達は、たくましく人を愛して生きていってほしい」…という感じで接します。

前置きが長くなりましたが、基本的に金八は、生徒を強く叱ることはそれ程ありません。それでも、要所では強く叱ることもあります。
なかでも、昨年末に放送された第11話の叱りは、リアリティーに溢れ圧巻でした。




金八のクラスに引きこもりの男子生徒・里中憲太郎(サトケン)がいました。金八は、彼の事を気にかけ、度々家庭訪問し、引きこもっている憲太郎の部屋の前で優しく語り掛けていました。ある事件が起こるまでは。

憲太郎が引きこもった原因は、父親が野球の大好きな憲太郎の、高校のスポーツ入学オファーを勝手に断り、さらに父親が憲太郎に与えた大事な野球道具を処分してしまった事でした。それ以来、憲太郎は心を閉ざして自室に引きこもっているのでした。

憲太郎の父親は金融機関に勤めていましたが、高卒のために社内で肩身の狭い思いをしていました。そのトラウマ(心の傷)により父は、息子には同じ苦労をさせたくない! との思いから、息子の望む進路に実力を行使して反対したのでした。そんな父親は、いつも神経をピリピリ尖らせ、憲太郎が好きだった、川原で一緒にキャッチボールをしてくれた昔の父親ではなくなっていました。

息子の引きこもりが長引いたある日、憲太郎の父親が3年B組をたずねてきた。憲太郎の父は「自分は何が悪かったのだろうか。教えてください・・・」と、生徒達に尋ねました。事の経緯を話すと、生徒達は一斉に憲太郎の父親を非難しました。父親は「そうですね・・・」と、つき物が落ちたような顔になって、教室を後にしました。その後、父親は毎日、憲太郎の携帯電話へメールを送りました。しかし、憲太郎が父からのメールを読む事はありませんでした…。


事件は突然置きました。
憲太郎の父がくも膜下出血で急死したのです。

お通夜が終わった夜、金八は憲太郎の部屋の前立ち、こう言いました。

「これが最後だ、よーく聞け。

(ここから語気を強める)
いつまで甘えているんだ!

お前は、定期テストから逃げた。
3B(3年B組)からも逃げた。
高校受験からも逃げた。
そして、野球からも逃げた。
今のお前は、お父さんが死んだという
事実からも逃げている!

今のお前はな、
お父さんの背中におんぶされたまんま
駄々をこねている子供だ。

いい加減に降りろ!
降りて、自分で立って歩け!
そして、お父さんをもう楽にしてやれ。

今からでもできる親孝行が
ひとつだけある。

下に降りてきて、
お父さんにお別れを言え!

「十五年間も育てていただいて、
ありがとうございました」と
礼を言え! 」

その後、憲太郎はゆっくりと部屋から出てきて、父の亡骸に対面し、涙ながらに父に別れを述べました。

ある朝、晴れやかでどこか寂しげな顔で学校へ向かう健太郎の姿がありました。


まだ文章は続きますが、ここまで読んで頂きありがとうございます。
なぜこれほど長く書いたのかといいますと、金八の憲太郎に対する叱責は、単なるお説教ではないからです。それを説明するために、説教に至った経緯を文章にする必要があったからです。

金八が憲太郎に行った叱責は、事態を見定めて絶妙のタイミングで言わないと、かえって引きこもりに逆効果と思える内容です。

単純に抜き出すと、
・いつまで甘えているんだ!
・お前は逃げている。
・お前は駄々をこねている子供だ。
・自分で立って歩け!
・親を、もう楽にしてやれ
・親孝行しろ
・父にありがとうございましたと礼を言え!

これだけを見ると、引きこもりを更正させると自称して、テレビでも度々取り上げられているいる「名古屋の熱血おばちゃん」を思い起こしてしまいます。

でも、金八の憲太郎に対する叱責は、熱血おばちゃんのそれとは、言葉尻は似ていても、全く別物です。

金八は、今父親に会わせないと憲太郎が一生後悔すると思ったからこそ全身全霊で、敢えてこのきつい言葉を浴びせたのだと思います。このの金八の言葉は、シリーズ中最高とも思える非常に重たいものでした(社会や学校に向けたものではなく、傷付いた一人の生徒に向けた言葉としては)。

ひるがえって、「名古屋の熱血おばちゃん」のしている事ですが、説教の最悪なお手本です。「愛の鞭」の粗悪な偽物です。

さらに「名古屋の熱血おばちゃん」の怖い所は、親を講演会に招いて洗脳して、「愛の鞭」の粗悪な偽物を親に持たせてしまう事です。現に熱血おばさんの理論に洗脳された親が、引きこもっている女性に暴言を吐きながら、バケツの水を浴びせかけるシーンがテレビで放映されました(テレビのコメンテーターも絶句して、何やら訂正のコメントをしてましたが…)。

自分は子供に手を下さず、親を洗脳して子供をいたぶらせる。
これはサラ金の裏側を描いたマンガ『ナニワ金融道』に出てくる、身分証偽造の手口と似ています。もう持ち金の無い客にサラ金社員が、他社のサラ金から借金して自社の分を返済させるため、客に聞こえる様に、身分証偽造の方法を話し、「やる・やらないのは、貴方の勝手やで」と言うのです。客は切羽詰っているのでその方法を実行してしまいます。偽造を行ったのは客ですから、サラ金業者は罪に問われません。熱血おばちゃんの方法もこれに似ています。

もっとも、引きこもりの人を更正目的で入れている熱血おばちゃんの系列寮で、スタッフの暴力による死亡事件が起きたようですが、自明の理です。
過程を省いてすぐ叱責したり、暴言=愛の鞭と勘違いしたり。そして暴力に訴えるのは、愛の鞭が紛れも無い偽物である証拠です。そこには引きこもりに対する「見下し」の姿勢しかありません。同じ東海地方にあり、過去に指導人によるリンチ事件を起こした不登校・引きこもり更正系のヨットスクールも同じでしょう。指導する側が、見下しと憎しみをもって接していたのでしょう。

彼らに金八先生の爪の垢を、強制的に飲ませる方法は無いものか。。。

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はじめに・・・
「事件を起こすのはごく一部の人です」。不登校・引きこもり・ニートの当事者が事件を起こすたびにマスコミが騒ぎ、専門家はその火消しにまわる。でも火消しをすればするほど、不登校・引きこもり・ニート当事者の事件が強調される。
当事者は辛いんだから、大変なんだから、事件は起きて当たり前。その視点から始めないと、真実は見えないし、解決も支援も無いと思う。
学校(社会)・家庭・他人・自分全て駄目!!を経験した筆者がお送りします。

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